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将棋棋士遠山雄亮のファニースペース

日本将棋連盟棋士。五段。日本将棋連盟モバイル編集長兼プロデューサー。2015年2月にhttp://chama258.seesaa.net/より引っ越しました。

電王戦閉幕

電王戦が終わりました。6年間、年に一度の盛大なお祭りでした。
囲碁でもAlpha碁が完全勝利し、2017年は「ゲームの世界でチャンピオンがAIに負けて対戦形式が終わった」年として、未来に語り継がれることでしょう。


今回が最後の電王戦ということもあり、私自身第1・2局と現地に赴きました。

第2局の直前、観戦記担当の先崎九段に、現地でお世話になります、と伝えると、

 

「わざわざ自費で来るのか、どうしてだい?!」

 

と聞かれてとっさに

 

「電王戦は私の青春なんです」

 

と答えて、自分でも大げさすぎて驚きました。
でも電王戦は自分の人生に大きな影響をもたらし、得難い体験をしました。

言葉に出してから思い返すと、青春と言っても言い過ぎではないのです。

 

先崎九段が書かれた第2局の観戦記は、本当に素晴らしいものでした。ぜひご一読を!

originalnews.nico

 


第1回電王戦から数えて計6回(6年)、佐藤天名人、ドワンゴ川上会長の第2局終局後のインタビューにこの電王戦が集約されています。

 

佐藤天名人

コンピューターが人間を超えていく過程はとても刺激的で、多くのドラマを生む。それが電王戦で起こったと思う。

 

ドワンゴ川上会長

人工知能対人間」という文脈において、人類の歴史の転換点に関われたことは光栄だった

 

記者会見の模様はこちらの記事に詳しいです。

 

ascii.jp

 

私自身も、人間が人工知能に追い越される過程を示すものとして、電王戦は文字通り空前絶後のイベントだったと思います。

 


私自身全6回の電王戦になんらかの形で携わり、将棋連盟サイドに立って将棋ソフトへ勝つことに協力してきました。
そして将棋ソフトが指数関数的に強くなり、人間が追い越されることを体感しました。

 

色々書きたいこと、思うことがあります。最初は沢山のことをブログに記してきました。
でも途中から多くの人が電王戦に関心を持ったことで、素晴らしい考察が出てきて私が書く必要性が乏しくなりました。

下記の記事は、電王戦をキレイに総括した、本当に素晴らしいものです。長いですが、ご興味ある方はご一読ください。

 

news.denfaminicogamer.jp


私は棋士なので、こんなにうまくまとめることはできません。でも棋士という立場だからこそ出来ることもあります。
その方法として、電王戦を将棋の解説として記すならば、それは棋士にしか出来ないことでしょう。

 

そこで時間の余裕がある時に、計20局の電王戦を一つずつ振り返っていこうと思います。
いま振り返ることでわかることも多くあります。
誤解されたままになっている出来事もありそうです。

 
まずは電王戦6戦全勝のPonanzaの将棋を振り返ろうと思います。
Ponanzaが指数関数的に強くなっていることが証明できる、はずです。

 

書けること、書けないこと、色々ありますが、どう人間がコンピュータに抵抗してきたのか、ということに関しては関係者に迷惑にならない程度に記していこうと思います。
あまり早いペースでは書けないので、のんびり読んでいってください。

 


それではまた

長岡五段戦

振り駒で後手になり、角換わり模様から乱戦になりました。

こちらが飛車を手持ちにした分、相手は角と歩を多く持つ展開に。

持ち時間が20分の早指しなので、飛車の手持ちが大きいとみていました。

 

迎えた図。後手△が私です。ここから手持ちの飛車を頼りに攻め込みました。

 

 

f:id:toyamayusuke:20170526102137g:plain

 

 

△5五銀右▲3七角△7三桂▲3四歩△6五桂と進めたのが会心の手順でした。

後手陣はギリギリのところでバランスを取っています。やや奇異にうつる8三飛型も生きています(△8四飛型だと▲3四歩で▲5六歩が痛い)。

 

この勢いのまま猛攻を仕掛けて、短手数で押し切りました。

 

先週の痛い敗戦、慌ただしい日々と、難しい状況で迎えた対局でしたが、いい内容の将棋が指せたのはよかったです。

次局も長岡五段との対戦となります。また今日からそこに向けて勉強です。

 

 

それではまた

及川六段戦

振り駒で先手になり、角換わりへ。

4月の渡辺大四段戦と同じ展開になりました。

 

渡辺戦はうまくいったので(逆転負けしましたが)、同じ趣旨の自陣角を打ちました。

先手▲が私です。

 

 

f:id:toyamayusuke:20170519213636g:plain

 

 

この▲4七角は、直接的な狙いは▲7五歩~▲7四歩。それ自体は△8四飛で簡単に防がれますが、この角で相手の動きを封じるのが真の狙いです。

しかしこの後相手の動きを封じ込められず、逆にうまく動かれて角打ちが空をきる格好になりました。

 

急所で残念な内容の将棋が出てしまうのが課題です。

今日は朝イチの新幹線で、電王戦の会場である姫路城に向かっています。

この課題を克服できるよう、何かをつかんできたいものです。

 

 

それではまた

明日対局

明日は第43期棋王戦予選決勝、及川六段戦です。

 

挑決トーナメント入りをかけた戦いです。

前期は勝率はわりと良かったのですが、ここ一番で負けて結果につながりませんでした。その悔しさを払拭するチャンスがいきなりきました。

 

モバイル中継もあります。

いい内容の将棋をお見せしたいものです。

 

bit.ly

 

 

それではまた